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噛まれるとラッキー!?日本の伝統芸能・獅子舞とは

噛まれるとラッキー!?日本の伝統芸能・獅子舞とは

 

お正月やお祭りなどのめでたい席でよく登場する獅子舞(ししまい)。見かけたことはあっても、その意味や由来を知っている人は少ないのではないでしょうか。

また、「獅子舞に頭を噛まれると縁起が良い」と言われますが、一体何故そのように言われるようになったのでしょうか。今回は獅子舞の歴史や起源について詳しくご紹介します。

獅子舞の歴史

獅子舞のルーツは古代インドにあり、インドから中国、中国から朝鮮半島、朝鮮半島から日本へ伝わっていったと言われています。

獅子舞の「獅子」とはライオンのこと。インドの遊牧民はライオンには神秘的な力が宿っていると信じ、霊獣として崇めていたのです。やがて、彼らは宗教行事としてライオンを模した舞を踊るようになりました。これが獅子舞の原型と考えられています。

日本で、今の獅子舞の原形が登場したのは16世紀初めごろ、室町時代のことと言われており、伊勢の国(現在の三重県)で飢饉や疫病を追い払うために獅子頭を作り、奉納したのが獅子舞のルーツとされています。

獅子舞はその後、江戸へ伝わり、祝い事の際に獅子舞が登場する文化が定着していきました。そして江戸時代の初期、「伊勢大神楽師(いせだいかぐらし)」と「江戸大神楽師(えどだいかぐらし)」と呼ばれる芸能グループが全国を回って獅子舞の公演を行ったことで、獅子舞は急速に全国に広まりました。その後各地で郷土の風土や風習が付け加わりながら独自に発展していき、日本を代表する伝統的な民俗芸能となったのです。

獅子舞の種類は大きく2種類

獅子舞は日本各地でさまざまな種類がありますが、大きく分けると伎楽(ぎがく)系と風流系という2つの系統があります。

  • 伎楽系

伎楽系では2人以上で1匹の獅子を演じます。正月の獅子舞は、この伎楽系で演じられることが多く、西日本を中心に全国に広まっています。

  • 風流系

風流系では1人で1匹の獅子を演じることが特徴で、お腹に太鼓を括り付け、その太鼓を叩きながら舞うこともあります。こちらは東北や関東地方で多く見られる系統です。

獅子舞が頭を噛む理由

獅子舞が頭を噛む理由

日本の伝統芸能である獅子舞では、獅子頭という仮面をかぶって獅子に扮装し、祭囃子(まつりばやし)に合わせて踊ります。このような格好をして踊る目的は、悪魔祓い、疫病退治、豊作祈願などです。

獅子は人にとりついた邪気を食べる性質があると言われているため、頭にかみついてくることがあります。獅子に噛まれると邪気が取り除かれるので、病気などの災難から守られることになります。獅子に噛まれるのは怖いことではなく、喜ばしいことと言えるでしょう。

子どもが獅子に噛まれると無病息災で成長することが期待できるほか、学力向上のご利益もあると言われており、親が子どもに「噛んでもらいなさい」とすすめることもあります。獅子もそのような期待に応えるように、子どもたちを優先的に噛んでいくというわけです。

また、初詣で獅子に頭を噛んでもらうと魔除けの効果があり、1年間幸せに過ごせるとも言われています。

日本人は昔から語呂合わせで縁起担ぎをすることを好みます。実は獅子舞に頭を噛まれると縁起が良いとされるのも語呂合わせが関係しています。

「噛みつく」という言葉は「神付く」につながります。つまり獅子が頭に噛みつくと、その人には神様が付くと考えられているのです。神様の付いている人に災いが起きることは考えにくいですよね。お正月に獅子に噛みついてもらって神が付くと、その人は1年間平穏無事に過ごせるというわけです。

獅子舞が有名な県は?

全国屈指の獅子舞の数を誇るのは、富山県と香川県

富山県と香川県には活動中の獅子舞が約800件継承されており、その形は集落ごとに様々です。

  • 富山県

舞い踊る芸能獅子舞のほかに、舞を行わず、祭事行列の先導役を務める行道(ぎょうどう)獅子が残っていることが特徴といえます。また、富山県西部では胴幕の中へ大人数が入る百足(むかで)獅子を見ることができます。富山県の獅子舞は豊作を願う春祭りや五穀豊穣に感謝する秋祭りで多く演じられます。

  • 香川県

香川県の獅子舞は主に9月、10月の週末、多くの神社で見ることができます。11月上旬には県内各地の多種多様な獅子舞が集まって競演する「獅子舞王国さぬき」も開催されます。

巨大な獅子頭がある茨城県・石岡市

茨城県石岡市の常陸風土記(ひたちふどき)の丘には高さ14mの巨大な獅子頭(ししがしら)があり、9月の例大祭「石岡のおまつり」では30以上の獅子舞の姿を見ることができます。石岡市の獅子舞は幌獅子(ほろじし)と呼ばれるもので、獅子頭に移動式の小屋が付いています。小屋の中には囃子衆が乗り込み、大太鼓、小太鼓、笛、鉦(しょう)を奏でます。小屋が付いた幌獅子は全国的にも珍しいものです。

沖縄の獅子舞は毛むくじゃら

沖縄の獅子は毛むくじゃら!?

沖縄では、一風変わった獅子舞を見ることができます。沖縄の獅子舞は本物の獅子のように体全体が毛におおわれていて、体を激しく動かし、勇猛さを表現します。

獅子舞が行われる時期は正月ではなく、旧暦の6月から8月にかけての豊年祭、旧暦の8月15日の十五夜祭、旧暦のお盆などに行われます。その目的は、悪霊を払い、五穀豊穣と集落の繁栄を祈願することです。

まとめ

獅子(ライオン)がいない日本で、獅子舞が伝統芸能として根付いたのには、歴史的な経緯があったのですね。

獅子舞は神社などでお祭りやお正月の際に見ることができます。獅子舞を見かけたら、思いきって近づいてみてください。運が良ければ噛みついてもらえるかもしれません。

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