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ナマハゲの正体とは 一見怖いけれど実はありがたい存在?

「泣く子はいねがー」「悪い子はいねがー」と言いながら、鬼のような面を被り、包丁を片手に家々を回るナマハゲ。秋田県の伝統的な民俗行事として全国的に有名な「ナマハゲ」ですが、ナマハゲの正体や行事が行われる意味を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。

今回は、そんな「ナマハゲ」の正体、由来から歴史、現在の在り方に至るまで詳しく解説していきます。

ナマハゲの正体とは

なまはげの正体

ナマハゲは秋田県の男鹿(おが)半島周辺で行われている年中行事であり、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。

鬼のような面に藁の衣装をまとい、包丁と桶を持ったナマハゲが子どもたちを追いかけ、子どもたちが泣き叫んで逃げ回る様子をニュースなどで観たことがある方も多いのではないでしょうか。

子どもたちを怖がらせるナマハゲは恐ろしい鬼だと思われがちですが、実は「神の使い」であり、家の邪気をはらってくれるありがたい存在なのです。ナマハゲが大きな音で戸を叩いたり、足を踏み鳴らすのも家の中の邪気をはらうため。さらに、ナマハゲの体から落ちた藁には無病息災のご利益があると言われています。

そんなナマハゲは訪れた家の人々から料理や酒をふるまわれ、丁重にもてなされます。

ナマハゲの由来は?

ナマハゲの起源については諸説あり、明確なことはわかっていません。こちらでは有名な4つの説をご紹介します。

  • 漢の武帝説

昔話「九百九十九段の石段」に登場する5匹の鬼が五社堂に祀られ、ナマハゲの起源となったとする説。

昔話「九百九十九段の石段」とは以下のような話です。

中国の「漢」の時代、武帝が不老不死の薬を探しに男鹿を訪れた際、5匹のコウモリを従えていた。コウモリは鬼に変身して武帝のために毎日働いていたが、一年に一度、正月十五日だけは休みをもらい、里を荒らし回った。

困り果てた村人たちは武帝に「一晩で、五社堂まで千段の石段を築くことができたら、毎年一人ずつ娘を差し出す。もしできなかったら、二度と鬼を村に降ろさないでほしい」とお願いした。

鬼たちはどんどん石を積み上げ、あと一段で完成するという時に、夜明けを告げる一番鳥の鳴き声が聞こえてきた。

実はこの鳴き声は村人が鶏の真似をさせた嘘の鳴き声だったのだが、鬼たちは「夜明けまでに千段の石段を築くことができなかった」と勘違いをして、約束通り、二度と村へ降りてこなかった。

鬼をだましたことで祟りを恐れた村人たちは、年に一度、若者に鬼の格好をさせ、ごちそうなどでもてなす行事を始めた。

  • 漂流異邦人説

男鹿の海岸に異国の人々が漂流してきた際、その姿や言語が村人には「鬼」の様に見え、その姿がナマハゲの起源となったとする説。

  • 山の神説

男鹿半島では古くから信仰の対象となっていた「山の神」の使者がナマハゲであるという説。

  • 修験者説

男鹿の本山と真山で過酷な修行を行っていた修験者の荒々しい姿がナマハゲとなったとする説。

ナマハゲの役割とは?

なまはげの役割とは?

ナマハゲの語源は「火斑(もなみ)を剥ぐ」という言葉だと言われています。火斑は方言で「ナモミ」と言います。「ナモミを剥ぐ」という言葉から「ナマハゲ」という言葉が生まれたと考えられています。

ナモミとは低温やけどのことです。冬に囲炉裏で暖をとってばかりいると、ナモミができます。つまり、ナモミがあるということは怠け者の証。だからこそ、ナマハゲは包丁でナモミを剥ぎ取り、怠け心を戒めるのです。ちなみにナマハゲが常に持っている桶は剥いだナモミを入れるためのものです。もちろん、実際にナモミをそぎ落とすことはなく、包丁をあてるふりをするだけですので、心配は無用です。

ナマハゲの行事はいつ行われる?

ナマハゲの行事はかつては陰暦一月十五日に行われていました。現在は、ほとんどの集落で大晦日の夜に行事が行われています。そのほか、ナマハゲを体験できる施設やまつりでは様々な時期にナマハゲに会うことができます。

観光客が「ナマハゲ」を体験できる施設やまつり

観光客がなまはげを体験できる施設やまつり

ナマハゲの行事は地元でひっそりと行われるものなので、部外者は見る機会がほとんどありません。そこで、男鹿半島には年中ナマハゲを体験できる施設があります。

  • 男鹿市の「なまはげ館」

男鹿60の地区の多種多様なナマハゲの面と衣装が展示されているほか、本物のなまはげの衣装を身に着けることができる「なまはげ変身コーナー」もあります。また、なまはげ館に隣接する「男鹿真山伝承館」では、実際のナマハゲ行事を忠実に再現して見せてくれます。

  • 男鹿総合観光案内所

全長15mの巨大なナマハゲ像が二体設置されていて、観光客の撮影スポットとして大人気です。

  • なまはげ柴灯(せど)まつり

毎年2月の第2金・土・日曜日には、男鹿市北浦の真山神社で行われるまつりです。このまつりでは、境内に焚かれた柴灯火で丸餅を焼き、ナマハゲに献上します。観光客は冬の山から松明を持って降りてくるナマハゲを見られるほか、「なまはげ踊り」や「なまはげ太鼓」などの芸能も鑑賞することができます。

まとめ

かつては男鹿半島のほとんどの集落で行われていたナマハゲの行事ですが、近年では少子高齢化や過疎化の影響によって行事を行う集落が減り、存続が危ぶまれています。

ナマハゲは単に子どもをおどかすイベントではなく、悪いことをしないように戒めるという教育的な意味合いがあります。さらに、最終的には家族がナマハゲから子どもをかばってくれたという経験をすることで、家族の絆を強める効果も期待できます。

ナマハゲは最後に「来年もくるから、まめでいろ(元気でいろ)」と声をかけて出ていくなど、優しさを感じさせてくれる存在でもあります。

男鹿半島の人々の心の原風景ともなっているナマハゲを今後、どう存続させていくかが課題となっています。

現在では、「ナマハゲ伝道士認定試験」を実施する、集落外の人にも文化を伝承していくことを考えるなど、さまざまなナマハゲ存続のための取り組みが行われています。

この記事を読んでナマハゲのことが気になった方は、ぜひ本物のナマハゲを体験しに出かけてみてください。

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