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和式の婚礼で欠かせない角隠しとは?

和式の婚礼で欠かせない角隠しとは?

近年日本では結婚式の際、西洋式のスタイルが主流になりつつあります。
ウェディングドレスを晴れの舞台で身に着けたいと思っている人もいるでしょう。
しかし一方で、結婚式の際には日本伝統の和装を着こなしてみたいという女性もいらっしゃると思います。
花嫁の和装コーディネートの中でも定番の髪形に角隠しがあります。
この角隠しについて、以下で詳しく見ていきましょう。

角隠しの起源とは

意外と新しい角隠しの歴史

角隠しの起源とは
角隠しとは、文金高島田と呼ばれる高い髷を覆う布のことです。
和装の婚礼では綿帽子と並んで定番の髪形といえます。
白無垢の場合は綿帽子か角隠しを、色打掛の場合は角隠しを施すのが正装です。

ちなみに、この角隠しの歴史は比較的浅く、風習として始まったのは、江戸時代の後期から明治初期にかけてといわれています。

「桂巻き」が起源?

角隠しの由来にはいくつか説があります。その中で有力な説をいくつか紹介していくと、まず一つが「桂巻き」です。
別名「桂包み」とも言います。
京都の桂という地域に住み、かつて諸家の婚礼などにも奉仕した女性を指す「桂女(かつらめ)」に由来します。
彼女たちが室町時代には郊外の桂から京都市中に出てきて米、鮎などを頭の上にのせて売り歩いたそうです。
その際、頭を白い布で包み、頭の前で結び横に垂らしていたのが起源だという説があります。
ちなみにこれは、髪の毛が崩れたり、商品が髪の毛で汚れたりしないように施していたようです。
この桂巻きが角隠しに発展していったのではないかとされています。
似たような説として、鎌倉時代、身分が上の女性は外出する際に頭の上からすっぽり覆うことのできる布を身に着けており、これが角隠しのルーツではないかという説もあります。

宗教的な意味合いがルーツ?

前記した二つ以外にも、宗教的な風習をルーツとする説もあります。
女性が寺を参る際には髪の毛の生え際を隠すという風習があり、これを「すみかくし」呼びます。
黒い布で覆うこのスタイルは、当時婚礼のときにも用いられていました。
この「すみかくし」と、同じ字を書く「角(つの)」とかけて角隠しに変化していったのではないかという説もあります。

一方で、俗的なものがルーツであるという説もあります。
江戸時代、歌舞伎は人気の娯楽でした。
そして人気の歌舞伎役者の真似をする女性も少なからず見られたといいます。
この歌舞伎役者をまねた女性の姿からヒントを得て、角隠しに発展していったという説です。
このようにいろいろな説がありますが、どれが正しいのかは今もって定かではないようです。

角隠しをする理由

鬼隠しという意味がポピュラー

角隠しをする理由として、最も広く一般に認知されているのが鬼隠しです。
かつて、女性が嫉妬に狂うと鬼になってしまうと信じられていました。
怒りの形相が角をはやした鬼に似ていることからだそうです。
しかも、女性はすぐに嫉妬してしまう生き物であると世間一般では考えられていました。
鬼になって角をはやすことがないように、鬼にならないようにするというおまじないとして角隠しがもちいられていたのです。

女性が怒りに駆られないようにするため

もう一つよく知られているのが、嫁ぎ先の家に従順になります、という意味を込めて、角の生えた頭部を覆うというものです。
鬼になって角が生えるのは嫉妬だけではなく、怒りの象徴として古くから考えられてきました。
今でも日本の漫画を見ると、怒ったときに頭から角が生える描写があったり、そうした比喩が残されています。
そこで角が生えないように布で覆って嫁入りさせることで「従順でおしとやかな嫁になります」と新郎側に宣言しているといわれています。
今も昔も女性は感情的な生き物であると考えられていたのかもしれません。

災いを持ち込ませないようにするため

これら二つの理由は広く認識されており、和装での結婚式を意識されている方ならどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかしもう一つ、あまり世間一般には広く知られていない意味があります。
それは「嫁ぎ先に災いを持ち込ませない」ようにするためです。
最近ではショートカットの女性も少なからず見られますが、かつて女性はロングヘアが一般的なスタイルでした。
そして長い髪の毛には強い霊力が宿ると広く信じられていたのです。
霊力が強ければ強いほど、悪い霊も引っ張り込みやすいと考えられていました。
その結果、災いを呼び込んでしまう恐れが出てきます。
そこで長い髪の毛を髷状に結って、頭部を布で覆って隠すことで霊力を閉じ込めてしまうのです。
この状態で結婚式を挙げ、嫁げば嫁ぎ先に災いを持ち込まないようにできるのではないかと考えられていました。

このようにいろいろな目的があって、家柄によってはこのようなことを重んじているところも多く見受けられます。
和装の結婚式を挙げるのであれば、ある程度の予備知識は身に着けておいたほうがいいでしょう。