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旅立つ人に向けて贈る言葉「はなむけ」

旅立つ人に向けて贈る言葉「はなむけ」

3月の卒業シーズンになると街中で袴姿の女性の姿をしばしば見かけます。

今まで何度か卒業式を経験して、いろいろな思い出を積み重ねながら皆さん大人になっていきます。

そして、卒業式の中でも欠かせないのが、はなむけの言葉です。
校長先生やPTAの会長など来賓が卒業生に贈る言葉です。

ところでこの「はなむけ」、本当の意味ご存知でしょうか?
ここでは「はなむけ」という言葉について詳しく見ていきます。

はなむけという言葉の由来

はなむけという言葉の由来

はなむけにはどのような意味合いが?

何気なく使っているはなむけという言葉ですが、本来は旅立ちや門出を迎えた人を祝う意味があります。

これから旅立つ人に対して金品や詩歌などを贈る風習があり、贈り物自体も含まれます。

「餞別」という言葉を聞いたことはありませんか?
これと同じ意味合いがあります。

はなむけといわれると、何か言葉を贈ることだと思っている人も多いかもしれません。

しかし前述したように金品などこれから旅立つ人に対してのプレゼント、がもともとの意味です。
ですから言葉を贈るということであれば、「はなむけの言葉」と表現するのが正しいでしょう。

言葉の由来はどこにある?

ところでこのはなむけという言葉ですが、由来がどこからなのかご存知ですか?

よく、「花向け」からきているのではないかと言う人がいます。
確かに卒業式や送別会などでこれから旅立っていく人に対して、みんなから花束を贈るということは多いです。
そんなイメージが定着しているので、お花からきているのではないかという解釈をする人も多いようです。

ですが、本当の由来は違います。
実は漢字で書くと「鼻向け」となります。

その昔、中国では遠方に旅立つ場合、広大な台地が広がっているので、馬を使って移動することが多く、馬の鼻先を目的地の方角に向ける習慣がありました。

今では自動車や鉄道、飛行機などを使って安全かつ手軽に遠方に移動することが可能です。
しかしかつては遠方に旅立つ場合、さまざまな辛苦を経験し、時には命を落とすような危険も伴いました。

そこで見送る側は馬の鼻先を目的地の方角に向けることで、旅立つ友の道中の安全を祈願していたのです。
このような描写は「土佐日記」や「伊勢物語」でも登場します。

はなむけは、「(馬の)鼻向け」からきているということは覚えておくと、ちょっとした会話の中でも使えそうですね。

現在の漢字は「餞」

もともとは鼻向けからきていたのですが、今使われている漢字は「餞」です。
餞別の餞なのですが、一文字ではなむけと読みます。
さて、この漢字にはどのような意味合いがあるかご存知ですか?

餞の左側の食は酒食、右側の戔には少ないもしくは小さいという意味があります。
つまり「ちょっとした祝宴」という意味になるのです。
そのため、門出をささやかにお祝いしますといった感じになります。

はなむけの言葉を贈るタイミング

はなむけの言葉を贈るタイミング

お別れのシーンで述べるもの

はなむけの言葉は基本的にこれから旅立っていく人に対してのお別れのメッセージです。

たまに「入学式ではなむけの言葉を述べた」という使われ方をされますが、これは間違いなので注意しましょう。
入学・入社した人や異動など、向こうからこちら側にやってきた人には使いません。

通常は、校長先生や在校生から卒業生へ、上司が退社・異動する部下に対して使うことが正解です。
目上の人から目下の人に贈るのが一般的ですが、残る人が旅立っていく人に対して行うのであれば、目下の人から目上の人に対して使っても問題はありません。

例えばお世話になった上司が定年退職することになって、部下が何か言葉を贈った場合でもはなむけの言葉となります。

どのようなシチュエーションで使われる?

具体的にどのようなシチュエーションで、はなむけの言葉は贈られるのでしょうか?

まずは、ほかの営業所・支社に異動することになった同僚や友人に対して、ほかには、卒業式の際に校長先生が卒業生に対して贈るのも該当します。
卒業式の中には、在校生からの送辞も含まれることが多いでしょう。
これも旅立っていく先輩を送り出すための言葉ですから、はなむけの言葉となります。

ちなみに、結婚式というハレの日においても、新婦は親元から旅立つので使われることが多いです。
さらに、結婚を機に会社を寿退社するケースもあるでしょう。
このようなときに上司や同僚からお祝いの言葉はもちろん、結婚という新たな人生のスタートに際してのエールや励ましの言葉を贈る場合なども該当します。

簡潔にまとめるのがおすすめ

はなむけの言葉を贈るように言われた場合、どのような言葉が相応しいのか、あらかじめシミュレーションしておいた方がよいでしょう。

特に先生から生徒へ、上司から部下へ、付き合いの年数が長ければ、いろいろなこと経験を皆で共有したでしょうし、思い出もたくさんあるかと思います。
言いたいことがあり過ぎて、あれもこれも伝えたいとなると膨大なメッセージになってしまいます。

二人だけなら時間の許す限り思い出話に花を咲かせてもいいと思いますが、お別れの場に複数の人が立ち合っている場合に、あまりにも長いスピーチだと、聞いている方も集中力が散漫になりがちです。

そんな時にはエピソードは1つや2つに絞って、時間にして3分から5分程度で簡潔にまとめられるように用意しておきましょう。

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