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死者を弔って海や川で行われる灯籠流し(灯篭流し)

死者を弔って海や川で行われる灯籠流し(灯篭流し)

夏のお盆休みの時には実家に帰省するという人はいませんか?
その際、地域によっては昔ながらの儀式を目にすることも少なくないはずです。

中でも地域によっては、お盆には灯籠流しを行うというところもあるでしょう。
この灯籠流し(場所によっては精霊流しとも呼ばれています)、なぜお盆の時期におこなうのでしょうか?

ここでは灯籠流しの意味や内容について、詳しく解説していきます。

送り火の1種である灯籠流し(灯篭流し)

お盆の行事の一つ

お盆の行事の一つ
お盆の際には亡くなった方がお家に戻ってくると古くから考えられてきました。

そしてこの時、故人を迎える時・送り出すときに火を使います。
迎える際には迎え火、送り出す際には送り火を灯すのが一般的です。

こうすることで亡くなった方の魂が迷わないよう道しるべとして焚く、また帰りは夜遅く夕食を一緒に楽しんでからゆっくり帰ってほしいという意味が込められています。

灯籠流しはこの送り火の一つのスタイルです。
灯籠流しの場合は、お家ではなく海や川で灯籠やお盆のお供え物を流して死者を弔っています。

この行事は、地域によって若干やり方が異なります。

例えば自分の手で灯籠に名前やメッセージを直接書いて流すことができるイベントもあるようです。
そして、中に小さなろうそくを灯し、川に流していきます。

広島ではピースメッセージとうろう流しというイベントを毎年開催していて、原爆被害者の魂を弔う、そして平和を願って実施しています。

灯籠にメッセージや名前を書いて想いを込める

先ほども紹介したように灯籠には、名前やメッセージをかきます。
書いた人、作った人それぞれの想いが込められ、歴史ある伝統的な行事ですが、大抵夜に行われることが多いため、とても幻想的です。

故人の冥福を祈るのはもちろんのこと、亡くなった家族や知り合いに対して今までの感謝や愛情を伝えます。

そして「どうか心やすらかにあの世に戻れますように」という思いも込めて、流すのです。

現代では灯籠流しというと、夏の風物詩というイメージが先行して、その背景にある歴史や人々の想いなど見落としがちです。
直接参加できる機会があるようでしたら、せっかくなので、その灯籠に込められた願いなども意識したうえで、おこなってください。

見るのと実際にやるのでは、より一層見方や感じ方も変わるかもしれませんよ。

なくなりつつある行事でも

灯籠流しは昔ながらの行事ですが、近年は少なくなりつつあります。

なぜあまりやらなくなってきているのかというと、理由として一番大きいのは海や川の汚染の懸念があるためです。
灯籠や供物を流してそのままにすると、水質汚染につながります。

そうならないように、中には川の下流などで主催者のスタッフが待機して灯籠など全ての回収作業をしているところもあります。
この対策をするには、それなりの人員や道具など費用が必要になってきます。
対策を十分に行えない場合には、灯籠や供物のような実物を海や川に流さないように制限をしているところも見受けられます。

灯籠流し(灯篭流し)と精霊流しの違いってなに

精霊流しとはどのようなもの?

精霊流しとはどのようなもの?
歌にも登場する精霊流しですが、これはお盆の時期に長崎県で行われている行事のことです。

厳密にいうと佐賀県や熊本県の一部でも行われているようですが、やはり精霊流しと言えば長崎のイベントというイメージが広く定着しています。

初盆を迎えた故人のご家族の方々が対象となるのですが、精霊船と呼ばれる船を引いて市内を回り、その後、海や川へ運び、最終的に流すという流れです。

精霊船は長崎以外の地方の方には今ひとつピンとこないかもしれませんが、盆提灯やお花などが飾られたとても豪華な船になります。
昔は個人が船を一艘つくって出すのは、富裕層に限られていました。
そういったことから、今でも、大きくて立派な船を出すことがそのお家のステータスと考えている人も多いようです。

ちなみに精霊流しのイベントの中で、爆竹を鳴らすことがあります。
これは中国で行われている彩船流しの影響を強く受けていると考えられているようで、中国では魔除けのために爆竹を鳴らす習慣があります。
そのため、中国では新年やお祝い事などで、幸運を呼び込むために盛大に爆竹を鳴らして魔を追い払っているのです。

灯籠流しと基本的には一緒

よく灯籠流しと精霊流しにはどのような違いがあるのかという質問があります。

結論から言ってしまうと、基本的な意味は一緒です。

お盆の時期に、亡くなった人を弔うため、両方とも送り火の一環として行います。

ただし精霊流しは、長崎県をはじめとした一部地域でしか行われていません。
しかし灯籠流しは日本各地、また海外の一部でも行われています。

灯籠流しの場合は、灯籠を川や海に流しますが、精霊流しの場合、精霊船という一艘の船を流すという点も違いの一つです。
灯籠流しは、多数の犠牲者が出た戦争や事故などで死者を弔う、慰霊するという意味合いが強く、神事として行われることもあります。

一方、精霊流しは親族や家族など近しい人が亡くなった初盆に死者を弔うために行っているのですが、今では豪華さゆえにお祭りのようなイメージになってきているかもしれません。
先述したように、爆竹を鳴らすというのもお祝いのように感じてしまう要素のひとつでしょう。

最近では自粛している地域もあるようですが、基本的には夕方から夜遅くにかけて精霊流しの日には爆竹が鳴り響きます。
近くにいると耳栓をしていないとうるさくて仕方がないほどです。

このようににぎやかなイメージがありますので、この時期になると精霊流しを見るため、長崎市を中心に全国各地から多くの観光客が集まってきます。
ただし灯籠流しも精霊流しも一緒です。
故人の魂を弔う行事だということをぜひ覚えておいてください。

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